新規事業創出に特化した組織「Supership Group Startup Studio」とは!?立ち上げの背景や組織のミッションについてお伝えします!
お疲れさまです。Supershipホールディングス コーポレートコミュニケーション部の石川です。
3月に開催されたグループ経営・事業方針説明会「SGM(Supership Group Meeting)」にて稲葉さんより説明がありましたとおり、Supership Group Startup Studio(以下、SSGSS)が2022年10月に新設される予定です。その立ち上げ準備を行うために「スタートアップスタジオ準備室」が2021年4月に組織化されました。
今回は、Supershipホールディングス社長直下で立ち上がるこのSSGSSの全貌の紹介とともに、代表の稲葉さんにSSGSSにかける思いについて、たっぷりお聞きしてきました!
SSGSS立ち上げの背景
ーSupership Group Startup Studio(SSGSS)を立ち上げるに至ったきっかけや、背景について教えてください。
立ち上げの理由としては二点あります。一点目は、グループとして新規事業を生み出す「仕組み」を作りたいという思いがずっとあったことです。Supershipは2015年11月の創業以来、様々な事業の立ち上げを経験してきました。そのうちいくつかは現在の基幹事業になるまで成長したものもあります。インターネットの業界において「新陳代謝」は今後も必ず求められるので、新しい事業の柱をこのSSGSSから継続的に創出していきたいと考えています。
二点目は、新規・既存に関係なく、事業を生み出す人財が多くいる組織でありたい、という僕の強い思いです。事業の作り方には様々な手段があります。例えばM&Aを駆使して事業を拡大することも一つのやり方ですが、やはり「組織の中から生み出す」ことにこだわりたいと思いました。
グループとしては、2020年から「ミライリアルCHALLENGE」という新規事業創出プログラムも行ってきました。社員の皆さんから生み出された約20本のアイデアと向き合う中で「事業成功の蓋然性」の部分がぼやけてしまっていることを感じました。
僕自身、これまでのキャリアの中で様々な新規事業の立ち上げに携わってきましたが、決して成功体験に満ち溢れているわけではありません。成功以上に失敗を多く重ねてきた中で「新規事業は自社の強みをたたき台としてつくるべきだ」という、確固たる信念を持っています。マーケットと私たちが持っているアセットを縦軸・横軸で俯瞰した時、成長性がなく自社の強みを生かすことが出来ないエリアで事業を展開することは、相当難しいチャレンジです。事業そのものをつくる以前に、「どこにスポットを当てるべきなのか」という事業創出の原点を考える必要があります。
また、応募者の皆さんが直面していた壁があります。それが「チームを組成することの難しさ」です。当たり前ですが、事業はアイデアを持っている人だけでは具体化されません。自分一人で抱えて上手くいくケースは、僕の経験上ないと思っています。事業の企画や検討する際にも一人ではなく「壁打ち相手」がいてこそ、思考の迷路から抜け出せるとも思います。最終的に事業開発やプロダクト開発などさまざまな役割のメンバーの存在が事業の立ち上げには必要となるわけですが、日常業務が忙しい中ではチーム組成のための仲間を集めることはハードルが高い。そのような状況を鑑みた上で、ある程度のリソースを組織の中に予め用意しておく必要があると考え、SSGSSの立ち上げに至りました。
Supershipグループが前進するために乗り越えるべき課題
ー「新規事業をつくる前提となるポイントから学ぶ必要がある」ということでしたが、そういった点も含めて稲葉さんの中で感じられているグループの課題はありますか。
やはり「事業の作り方」の部分においては課題を感じました。事業の作り方はおおよそ三つの手法に大別できます。
一つ目は自分の身の回りの課題から着想を得て、それを解決するためのもの、二つ目が社会的な課題、今で言うとSDGsで掲げられているような目標を解決するためのもの、そして三つ目が米国や中国等のIT先進国で生まれた技術やビジネスを日本に輸入・展開する方法です。
過去2回の「ミライリアルCHALLENGE」では、応募者の大半が一つ目の「自分の身の回りの課題」ドリブンでした。その結果として生まれたアイデアはB2Cのビジネスが中心でした。これはある種仕方ないことだと思いますし当然のことだと思いますが、原点に立ち返り私たちのグループがコンシューマーのお客さまと直接接点を持っているか?と問われると、「ほぼ無い」ですよね。現時点で接点がないターゲットに対してビジネスを始めても、そこで我々の強みは活かされにくいということは、予め考慮しておくべきポイントだと思います。となれば、二つ目の社会的課題を解決する事業、三つ目のIT先進国のビジネスを踏襲する考え方もあることを知っておかなくてはなりません。
個人の身の回りの課題に着想を得て生まれたビジネスは世の中にたくさんありますが、今のSupershipグループの強みを活かすことは難しいです。僕もB2C事業の立ち上げは、今までいくつか挑戦してきましたがことごとく失敗しました。「失敗しているお前が何を言うか」と思われるかもしれませんが(笑)、だからこそ伝えられることがたくさんあります。これまでの「ミライリアルCHALLENGE」は、オープン参加型で事業の形態はB2C、B2B問わず応募可能としてきましたが、今後においては、B2Bに振り切る方針です。
ー今後、新しいB2Bのビジネスが立ち上がり、そこから派生する形でB2Cの領域にも活かせる強みが生まれた時には、B2C事業にトライする考え方はあるのでしょうか。
成功の蓋然性が証明できるのであれば、可能性としては当然あります。事業の立ち上げ・推進において、成功ストーリーを論理的に説明することは常に大事にしています。また、同じコンシューマビジネスでも、B2Cだけでなく、B2B2CやBとCを繋ぐためのプラットフォームを構築するなど、コンシューマにリーチするための手段はいくつもありますよね。そういった点も含めて多角的に検討することも視野に入れておく必要があるのではないでしょうか。
稲葉さんが仕事をする上で大事にしてきたこと
ーご自身の20〜30代前半の頃を思い返した時、「ターニングポイントとなった仕事」と「どんな点を大事にしながらお仕事されていたのか」教えてください。
僕は新卒でコンビニチェーンに入社しました。元々流通に興味があり、流通のシステムの中でもフランチャイズのシステムは当時とても洗練されていたので、そこで経験を積みたいと考えました。後にAmazonや楽天をはじめとするインターネット産業の成長が著しかったことと、ADSLの登場により環境が様変わりしたので、「これからはインターネットの領域で張っていかないと、生き残れなくなるのでは?」と自分自身に危機感を感じ、コンビニチェーンは2年で退職しました。
その後、インターネットビジネスを専門でやるセクションをつくったばかりの会社に入社しました。その会社に在籍した8年間は「インターネットで新規事業を作ること」に、寝食も忘れるほど夢中になりました。成功事例が何もない中で勝負し続け、トライ&エラーをひたすら繰り返す毎日でしたが、挑戦し続けることには一貫してこだわっていたと思います。
そんなタフな状況だったので、一人だったら途中で折れていたと思います。協力的な仲間に恵まれたおかげで、弱音を吐きたくなるような場面でも相当支えてもらいました。仲間づくりや仲間を巻き込んで仕事をすることは、僕が最も重要視していたことですね。
ー仲間づくりを最重要視されていたとのことですが、コミュニケーションの中で特に大事にされていたことや、気を付けられていたことはありますか。
僕は初めての転職と同時にマネージャーを務めることになりました。当時24歳で若かったこともあり、最初は本当に大変でした。自分より年上の方も大勢いる中で「指示を出す」ということが上手くできなかったのです。当然、外からいきなり現れた自分に付いてきてくれる人はいませんでした。自分の理想と現実のギャップには本当に苦しみましたが、ある時から指示を出すのではなく話し合う、傾聴する、ということに意識を向けるようになりました。相手の話を聞いた上で説明をしないと、目的が共有されずお互いが描くゴールがずれてしまいます。「ちゃんと本質を突き詰めて話し合う」ことをやるようになってから、仲間との関係性も良好になりました。これは今でも大事にしていることです。
また、「最初から人に答えを求めない」姿勢も大事にしていました。まずは自分で考えてプランA、B、Cをつくり、整理したうえで「私はこのような理由から、このプランがいいと思います」と説明できるように準備していました。逆に、自分がマネージャー、社長と立場が変わってからは、仲間に「どうするのがいいと思う?」と聞くようになりました。そうすると皆も全力で考えて意見を出してくれます。自分の意見を相手に伝えること、相手に意見を促し、しっかり聞くこと、こういったことを当たり前にできる人たちと働けたことは、僕のキャリアにおける財産です。
ーこれまでのキャリアの中で、今の稲葉さんを形成する上で一番糧となったエピソードがありましたら教えてください。
前言のとおり、僕はたくさんの新規事業を立ち上げては失敗してきました。それこそが最大の糧だと思います。失敗しても次の打席に立たせてもらったからこそ、「失敗から学ぶことはたくさんある」と思っています。失敗しても命は取られない。でも会社を存続させていくには、失敗を失敗で終わらせるのではなく、別の試合(事業)で回収してやろうという気概を持って挑み続けなくてはなりません。本当にかけがえのない経験をさせてもらったと、社長になった今、あらためて感謝しています。
そのような僕の経験もあり、新規事業を創出した経験を持つ人をグループに増やしたいと思っています。ある種これは、会社が生き残っていくための人財育成に必要な教育だと考えています。SSGSSにおいても、たとえ失敗したからと言って責任を取れというつもりは当然ありません。でも、失敗して逃げるという選択肢は絶対に持たないで欲しい。せめてワントライ、いや、損失した分を回収するまでチャレンジし続ける情熱は、自分もメンバーも持っていたいです。
会社の中のある種守られた枠組みの中で、サポートを受けながら新規事業にトライできることは大きなメリットです。心理的安全性が担保された環境ではありますが、それに甘えるのではなく、チャレンジの場として最大限使ってもらいたいと思います。
ー稲葉さんのこれまでのキャリアの中で培われてきたポリシーや、座右の銘はありますか。
僕の好きな言葉は、建築家のアントニ・ガウディの「諸君、明日はもっといいものをつくろう」という言葉です。ガウディが言ったかどうかの真偽も含め諸説あるようですが、すごくいい言葉だなと思います。常に成長し続けていこう、より良いものにしていこうという力強さを感じるので、節目節目で自分の中でも反芻している言葉です。インターネット産業を生業としている我々は、インフラがどんどん増強されユーザーのニーズも変化する中でどのように価値を提供するのか、常に考えをアップデートして良い方向へと変わり続けていかなければなりません。自分たちが置かれたこの状況においてすごくこの言葉がはまると、いつも思っています。
ー変わり続けるというところで言うと、グループの皆さんにも「変化に対応する力」や「変化を恐れない気持ち」は大事にして欲しいと思いますか。
闇雲に変化することを良しとするわけではなく、変化を求められる局面において本質を押さえながらも、競争することや手段を変えるということをやっていかないと事業は進歩しないと思っています。そのことに対しての恐怖は抱かず、チャレンジしてほしいと思いますね。
Supershipグループの「新規事業」を取り巻くミライ
ー新規事業に取り組む意義について、稲葉さんのお考えを教えてください。
スタートアップ企業を名乗る上では必要不可欠なものだと思っています。Supershipグループは重厚長大な会社でもないですし、スタートアップと名乗っている以上は常に新規事業を生み出すエコシステムを持ってないといけないと思っています。
ーSSGSSの立ち上げに向けて、どんなメンバーにジョインしてもらい、どんな組織にしていかれたいですか。
「これがやりたい」という強い意志に尽きると思います。今年の新卒の皆さんにも話したのですが、いわゆるスタートアップの人はもの凄い勢いで働きます。一つのことを成そうとした時、一人が二馬力くらいは働くイメージです。我々もスタートアップを名乗っていますが、一定の資金力もあり、これまでの事業で培ってきた強みもある点においては優位性があります。ただ、そこで胡坐をかいた瞬間に負けるほどシビアな世界です。もちろんベースには、楽しく仕事したい、して欲しい、という気持ちがあります。スピード感を持って挑戦できますし、何より仕事に熱中したい人には最適な仕事であり、環境だと思います。
ーSSGSSの3年後、5年後はどんなミライでしょうか。また、組織として共通で見ている世界観がどんなものになっていることを望みますか。
グループの中で新規事業を生み出すエコシステムが構築できていることが中心軸なので、そこが自走できているようにしたいです。社長である僕がいつまでSSGSSを担当すべきなのかについても、実は既に考えていて。立ち上げ時は推進力が必要なので、まずは一緒にやりますが、ずっと僕がへばりついてる姿は想像していないですね。どんどん新陳代謝していけばいいと思っていますよ。メンバーには「前に進む力」を常に信じて大事にして欲しいです。他の誰でもなく「自分」が能動的にやっていこうと思える人たちの集団でありたいです。言われたことを粛々とやるだけでは、新規事業は立ち上げられません。指示待ちではなく主体的に動くことができる、各人が自走する力を持っているチームは強いですよね。
ー稲葉さん、ありがとうございました!
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