楽しく働いて、未だ見ぬ価値を創り出したい【Leader's ミライリアル 稲葉さんの場合】
お疲れ様です!Super Stories編集部の大崎です。
Supershipグループでは、Group Purpose「ミライリアルの幸せを、デジタルの力で創る」の浸透に向けた取り組みを進めています。その一環で現在、グループの全従業員を対象としたワークショップ “CAMP” を順次実施しています。 “CAMP” ではメンバー一人ひとりの「ミライリアル」を言語化していますが、この連載「Leader’s ミライリアル ◯◯の場合」では、グループのマネジメント陣が掲げる「私のミライリアル」とその背景にある「価値観、好きなこと、得意なこと」をお届けします。
第1弾となる今回は、Supershipホールディングス 代表取締役社長CEO 稲葉 真吾の「Leader's ミライリアル」です。
Supershipグループを牽引するマネジメント陣が考える、各社・各事業の“未来予想図”である「私のミライリアル」にぜひ触れてもらい、日々の業務(=旅路)を進めるヒントとしてご覧ください。
【 カルチャー浸透施策のひとつ、「カルチャーブック」については以下の記事で制作意図などを語っています。ぜひこちらも合わせてお読みください 】
稲葉さんの「私のミライリアル」
―稲葉さんは「Supershipホールディングスの代表」そしてSupershipの「データソリューション事業の責任者」という2つの顔をお持ちであるため、「私のミライリアル」を2つ掲げていただきました。まずは「Supershipホールディングスの代表」としてのミライリアルについてお伺いします。この言葉にはどういった想いが込められていますか?
「『プロダクトを通じて』という部分は、事業責任者としても会社の代表としても持っている共通した想いです。サービスをデリバリーし続ける人・集団でありたいと考えています。
代表という立場からお話すると、会社組織は人の集まりなので、皆が楽しく且つ、熱中して働ける環境を作りたいです。例えば、業務においてトラブルが発生したりすると、対応中は『ヤバいヤバい!』となって悲壮感すら漂わせながら頑張りますが、終わってみたら楽しい出来事だったなと。あんなこともあったね、と成功体験よりトラブル体験のほうが良き思い出になると思っているので、そういう感覚を感じられる会社でありたいと願っています。どうせだったら楽しく働いてほしい。“大変だけど、熱中できる仕事”で得られる楽しさも存在すると考えています。
また、それぞれが目指す未来に向き合える会社でありたいと思います。Supershipグループは単一事業ではなく、それぞれの事業にビジョンや戦略を構えていますが、『世の中にインパクトを残すものをつくる』ことが我々にとってのミライリアルであると考えているので、それを叶える会社でありたいです。世の中、少なくとも自分の周りの人たちが使ってくれて、『これ良いね』と言ってくれるものを提供していきたいです」
―「データソリューション事業の責任者」としてはいかがでしょうか。
「データソリューション事業は、位置づけとしては『自社の3rd partyデータを駆使してビジネスを展開する』のではなく、『お客様のドメインの中にあるアセットを使ってビジネスを展開する』チームです。お客様が保有するデータなど、まだビジネス化できていないものを私たちの知見でビジネスに活かすことが大前提です。
お客様、特にエンタープライズ(大企業・官公庁など)の価値あるアセットを活用して、それまで成し得なかったものを私たちの知見で提供していきたいです。未だ見ぬ価値をどうやって創出するかが私たちの腕の見せ所であるし、そういった集団でありたいと思います。お客様とは単なる受発注の関係ではなく、新しいビジネスを創出するパートナーとしての関係が構築できていると感じます。
良い素材を調理できる“調理師”になりたい。ミシュラン3つ星なのかビブグルマンなのか、どちらの方向かはわかりませんが、そうした志向性の高い人たちが集まって完全に自走できる、良いチームだという自負はあります。他のチームも含め、グループ全体としてもいい感じになっていると思います」
価値観・好きなこと・得意なことについて
―続いて、その背景にあるご自身の価値観や好きなこと、得意なことについて伺いたく思います。まずは価値観についてですが「合理」「挑戦」「協調」とありますね。
「合理的に紐解けることができないと嫌なんですよ。自分の根っこには合理性を尊ぶ部分があって、事業を起こす上でも合理的に最短ルートを走るにはどうすれば良いのかを考えて『How』を作っていきます。着手し易いところから始めるのではなく、合理性のあるものから順番に手を付けていく流れで取り組みます。
『挑戦』については、常にチャレンジしていたいと考えているので、これも欠かせません。
『協調』は、仕事は一人でやるものではないという意図です。チームで取り組んだり、他社とアライアンスを組んで仕事をしたりすることもあります。誰かと何かを成し遂げるほうが大きいことができるし、喜びも大きくなると思っています。そのため“一匹狼”でやろうとするのは望ましくないですが、かといって“仲良しこよし”もあまり良いとは思いません。独立した個としてのプロフェッショナリズムを戦わせた上で協調することが望ましい形だと考えています」
―そして、好きなことには「インターネット」「物事を綺麗に整理すること」「仲間と一緒に働くこと」を挙げられています。
「インターネットは新しいインフラの一つだとずっと思っています。ネットはインフラとしてめちゃめちゃ優れていて、そこでありとあらゆることが実現可能となって、且つ未だに進化し続けています。回線が早くなる、といったインフラとしての成長もありますし、ビジネス基盤としても進化し続けていて、見ていても使っていても飽きません。インフラとしてのオポチュニティがありますし、使い手としてもサービスを展開する観点でも面白くて好きです。
『物事を綺麗に整理すること』についてですが、論点整理がすごく好きです。ぐちゃぐちゃになっているのを整えるとすっきりします。マトリックスで整理して、きれいに仕分けたあと皆の賛意を得られると、とても楽しいです。
『仲間と一緒に働くこと』は先にも述べましたが、一人で働くのは寂しい、ということです。自分がリスペクトする人たちと一緒に働けることはとても楽しいなとシンプルに思います。“イケてる”人たちと働けると刺激になるし、学べることが多いので楽しいです。特に今は代表という立場なので、議論の相手になってくれる人たちと働けると良いですし、そういった環境に身を置けていると思います。そう思う反面、何もしない“口だけ”の人とはあまり仕事をしたくないと思います。能力の高低ではなく、やるかやらないかだと思っています。Can-Can'tでなくDo-Don'tで、結果Can'tでもいいんです。ただDon'tは一番良くないと思っています」
―得意なことは、「整理整頓」「我慢」「長く頑張れること」を挙げられています。「整理整頓」については好きなことでも触れられていますが、「我慢」や「長く頑張れる」はどういったことでしょうか。
「昔から我慢強くて鈍感なのかもしれませんが、痛みにも強いです。物理的にも精神的にも強くて、我慢強く、且つ粘り強く取り組むことができます。ただその一方で、一定のラインまでは我慢できるし頑張れるのですが、“安住の地”を見つけた瞬間にもう飽きた、となってしまいます。
例えばゲームでも、必要以上にレベルアップをして“無双”状態で次のステージに進んだりするタイプなのですが、それをやりすぎていわゆる“作業ゲー”状態になって飽きてしまいエンディングを見ないまま買い取りに出す…なんてことも多いです。一回ピリオドを打って、また裸一貫になりたくなってしまうんですね。でも、不思議なことにそうやって生きてきたら今では社長になっています。最初この会社に来た時は部下はいなかったわけですから、“叩き上げ”ですよ(笑)」
価値観が育まれた人生のターニングポイントは
―ここからは、稲葉さんの価値観や好きなこと・得意なことが育まれたきっかけとなるエピソードなどを伺いたいと思います。稲葉さんにはご自身の人生の“幸福度の増減”を折れ線グラフにした「ライフチャート」を作っていただきましたので、これに沿ってお話を聞いていきます。
④では小売業界からIT業界へと転職され、「テンションが上がった」とのことですが、その後⑤では急落していますね。
「その会社に僕が入った頃は、ネット系サービスを作っていこうという機運が高まっていた時期で、新規事業創出の専門セクションが立ち上がったところにジョインしました。その時の自分は『ネットがこれから来る』と漠然と思っていたところで、その勢いで会社を辞めてネット業界に足を踏み入れました。そこでは希望通りの仕事ができたので、テンションは上がりました。
ただ、色々やったものの上手くいかず、累計10億円近くの損失を会社に与えてしまいました。その時はもうどうしたものかと頭を抱えましたが、一点ポジティブだったのは『ここまでやらかしても命取られることは無いな』と思えたことです。とはいえ何かしらの形で責任を取らなければ、と思い悩んでいたのが28歳の頃で、辞めて責任を取ろうと思ったら『10億円を取り返してからにしなさい』と止められました。そこでもう1度打席に立って、元々あったビジネスモデルに違った視点から目をつけて、ターンアラウンド的に新しいビジネスとして仕立て直したところ奏功し、10億円以上を取り返すことができました」
―なぜ10億も損失を出してしまったのに会社は稲葉さんにBETし続けてくれたのでしょうか。
「良いか悪いかはさておき、すぐにギブアップはしなかったからですね。2つの事業を潰してしまったものの、精魂果てるまでやり尽くしました。且つ、一緒にやっていたチームのコンディションも悪くなく、マネジメントとしての振る舞いという点も評価していただいたのかもしれません。
また、事業撤退の際に譲渡先を自分で探し、契約書も法務と協力して作成しました。加えて自分のチームメンバー10名ほどの配置転換も交渉するなど、撤退戦も含めて逃げずにやりきったことも評価されたポイントかもしれません。そういった経験をしたので、新規事業を途中で放り出してしまう人はあまり良いとは思わないですね」
―その後、⑦で再び転職しています。やっと10億円の損失を取り返せて、会社からの期待も更に高まっていた頃かと思いますが、ここで次のステップへとスパッと進めたのは何故でしょうか?
「先にも話しましたが、居心地が良くなりすぎたことが理由の一つにあります。ある程度評価され、言いたいことも好きに言えて、敬われるようにもなりました。その環境に身を置く中で、仕事はやりやすいけど居心地が良いままだと成長が停滞してしまう、新しいチャレンジをしなければいけないと感じました。
その時はPCの領域で、BtoB事業を担当していたのですが、ちょうどその頃モバイルに軸足を置きたいと考えたこともあり、あえて真逆を行こうと思って転職しました。その会社は『ネット系新興勢力』と言われる中の一つでしたが、人生でここまで働いたことはないというくらい、今思えばかなりのハードワークをしていました。でも無理をさせられた感覚は全く無く、楽しくてしょうがなくてテンション上がりっぱなしの状態で働くことができました。早い段階でマネジメントも任せてもらい、入社3年目で部長になりました。海外事業の立ち上げで出張も日常的にあり、忙しくも良い経験をさせてもらいました」
―その会社も離れ、⑨でSupershipに入社されることになりますね。
「また居心地が良くなってしまったんですよ。部長職になり、日常業務ではあまりチャレンジングなこともなくなり、日々会議漬けで面白みもなくなってきたなと感じていました。
そう思っていたところに、森岡さん(Supershipホールディングス 前代表)から『Syn.構想を手伝わないか』というお誘いを受け、難しいプロジェクトだろうなと思いつつも、面白そうと感じて入社を決めました。実際やってみると想像以上に難しく、このままだと爪痕を残すどころか沈んでしまうのでは、とやや焦っていました。
そこで、もともと受託事業だった検索事業を引き継いでターンアラウンドさせようと、宇都宮さん(現・Supership CTO)や風間さん(現・Supership プロダクト開発本部 データソリューションスタジオ 部長)と共に現在の『S4』の原型となるプロダクトを仕立てました。親会社から開拓してそこから外部へサービスとしてリリースし、数字もついてきたので、事業の立ち上げはやっぱり楽しいと感じました」
―これまでに「新たにビジネスを立ち上げて成り立たせる」ということに多くチャレンジされていて、そのたびにライフチャートのグラフも上昇しています。そうしたハードな挑戦を続ける「目的」は何でしょうか?
「森岡さんはよく『人生思い出づくりだ』とお話されていたのですが、その感覚はすごくわかります。より良い思い出を作るために、私は挑戦を続けているのかもしれません。
しんどいことのほうが思い出により残るじゃないですか。新規事業は得てしてしんどいことばかりで、楽な新規事業など絶対ありませんが、人生の思い出づくりに直結するのではないかと思いますね」