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幅広いチャレンジで「アドレナリンの出る経営管理」を実現する 〜Supership 取締役CFO/経営戦略本部・ガバナンス推進本部 本部長インタビュー
お疲れ様です!Super Stories編集部の大崎です。
今回は、 取締役CFO、そして経営戦略本部とガバナンス推進本部の本部長を務める秋元 甲介さんのインタビューをお送りします。
秋元さんは、2023年7月にSupershipホールディングス(当時)の取締役CFOに就任。2024年4月の組織再編後も引き続きCFOを務めています。経営管理の仕事を通じ、会社の成長を牽引していきたいと語る秋元さんが歩んできたキャリア、そして価値観や好きなこと・得意なことから、その素顔を紐解いていきます。
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「アドレナリンの出るような経営管理」で会社の成長を牽引する
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―秋元さんは、取締役CFO、そして経営戦略本部とガバナンス推進本部の本部長として、どんなことを成し遂げたいですか?
「アドレナリンの出るような経営管理で会社の成長を牽引する」ことです。
―事前にいただいた回答を拝見して、少し意外に思いました。経営管理というと“アドレナリン”という言葉とはイメージが違う気がします。
確かに、経営管理というと企業における各種の数値を集計したり、リスクの管理や指摘を行う、内向きで後ろ向きなイメージをもたれることが多いのですが、私は全くそうは思っていません。本当にクリエイティブで刺激的な仕事だと考えています。
経営に近いところでダイナミックに意思決定に関与できますし、業務のDX化や生成AIの活用などできることが多い職種だと思います。ただ、それも自分の姿勢次第です。何も動かないとルーティン的な作業が多くなってしまいがちなので、メンバーの皆さんには、より「Super ジブンゴト化」してもらいたいと思いますし、私自身も“脳汁”が出るようなアドレナリンが出る仕事をもっと設計していきたいと思っています。その結果、会社の成長を牽引することができたら最高ですね。
―経営管理を通して、どういった状態を作ると「会社の成長を牽引した」と言えるのでしょうか?
どの事業にどうやってリソースを配分するのか、アクセルとブレーキをどう踏んでいくかといった、向かうべき方向性を正しく定めることが経営管理の真髄だと思っています。
以前、ある方から「足し算で足されていった事業の数字を、何乗できるかが経営管理の仕事だ」と伺ったことがあります。まさにそれが実現できれば、会社の成長を牽引したと言えるでしょう。この目標に向かっていく中で、私自身もアドレナリン全開で仕事に臨みたいと思っていますし、一緒にワクワクしながら、情熱的に仕事に取り組んでくれる仲間を増やしたいですね。
幅広くチャレンジし、自分の人生に点を打っていくことが大切
―そうした思いの背景にある価値観について伺えますか?
まず「合理」ですね。ロジカルシンキングとも言えますが、物事のつながりや構成を論理的に整理して頭の中に入れておくのが好きです。というか、自然とやってしまいますね。自分の部屋は散らかっていますが(笑)、思考だけは綺麗にしておきたいんです。
「希望」は、これまでのキャリアを振り返って、色々なことがありましたが、最終的にはどうにかなるという考えが根底にあります。最近はあまり落ち込むこともなく、いい意味で楽観的にやれていると感じています。
―「変化」についてはいかがでしょうか。
スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの「Connecting the dots」という言葉が好きです。その時の自分の価値観には合わないような経験があったとしても、将来どこかで点と点が繋がって線になって、やがて大きな絵を描けるようになるという意味です。
自分の将来の糧になるかならないかよりも、少しでも興味があることに挑戦してみたり、たまたまやらせてもらえることを一生懸命やったりするなど、自分の人生に広く点を打っていくことが大切だと私自身も感じます。
私自身、過去に少しだけ飛び込み営業をやっていた時期がありました。当時は自分のキャリアには合わないなと思っていましたが後になって振り返ると、お客さまとの接し方など、今に活きている部分があると実感しています。自分の業務や責任の範囲は勿論ありますが、制限はあまりせず、やれることは担当外でもやっていきたい。その意味で「変化」を選ばせていただきました。
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“推し”への共感を伝播させ、美しい業務設計を描く
―好きなコトについて伺いたいのですが、まず最初に「課題解決」を挙げられていますね。
業務において存在する課題について、なぜそれが起きているのかを考え、課題解決の方法論に沿って綺麗な解決策を導き出して解決するという一連の流れが好きです。これは「合理」の価値観にもつながりますね。
―「“美しい”業務設計」とありますが、“美しい”とはどういうことでしょうか?
あらゆる情報を全部把握した上で、無駄な部分がある業務フローを全く無駄がないものに変え、さらに例えば監査に必要なデータは自動で保存されています、というような、そこまで考えているのか!と驚かれるような業務設計は美しいと感じます。
最小のインプットで最大のアウトプットを出すことができると、もう、たまらないですね(笑)。皆が少し感じている、不便なことやできなかったことを、アイデア一発で解決できたり、美しく整理できたりするのも興奮します。
―「共感の伝播」にはどういった想いが込められていますか?
自分のキャリアを振り返り、嬉しかったことを思い返してみたのですが、印象的だったのはKDDI内でBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの導入を担当した時のことです。
まず自分でそのツールの良さを実感したからこそ、積極的に本部内で推進しました。その良さを他の人にも気づいてもらえて、どんどん広がっていった時に、「自分の好きなことが他の人に伝わって、同じ価値観で動いてもらえること」は震えるぐらい嬉しいなと感じました。
いわば“推し活”のようなことかなと思いますが、自分の推しの良さを理解してもらって、一緒に動いてもらえるのは嬉しいなと。仕事を通して推し活をしているとも言えますね。
―得意なコトは何ですか?
物事をざっと見て、こういうことね、とざっくり理解するのは比較的得意な方だと思います。「最短距離を走ること」もこれにつながっていて、現在地とゴールを理解すれば、あとはどう走れば最短なのかを考えるだけだと。
「5°ずらして考える」は、まさにマネージャーの価値だと考えています。皆さんが普通だと思っていることをそのまま捉えるだけでは自分のバリューは発揮できません。少しだけ、5°だけ前提を変えたり、違う見方をしたりすることを意識しています。30°や40°までいってしまうと行き過ぎで、ちょっとだけ見方を変えて示唆を出すことで、盲点だったことや落とし穴だった観点が見つかったりします。
―5°ずらして考えるというのも、物事をすぐにざっくり理解できるからこそできることなのでしょうか?
確かにそうかもしれません。細かいところまで理解するのは自分の役割ではない時も多いので、どちらかというと大枠で、目的や大局観を理解して少し違う観点をつけることをマネージャーとして意識しています。
「それが本当にお前の言いたいことなのか?」
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―ここからは、これまで伺ってきた価値観や好き・得意なコトが育まれていったキャリアについて「ライフチャート」をもとに深堀りしていきます。
高校までは群馬県の、軽井沢に近い田舎で平和に暮らしていました。大学入学を機に上京し、東京にカルチャーショックを受けつつも楽しい大学生活を過ごしました。学園祭にアーティストを呼んでライブを開催する企画系のサークルに入っていたのですが、そちらに熱中し過ぎたせいで圧倒的に単位が足らず留年してしまいました(笑)。
―その後、無事に卒業され、KDDIに新卒で入社されますが、就活はどのような軸で行っていましたか?
企画系サークルで活動していたこともあり、自分の頭で企画を考えたり、ものづくりをしたりすることができる仕事に就きたいと思っていました。そうした考えのもと不動産デベロッパーやIT系のサービス企画などを中心に受けていたところ、KDDIから内定をいただきました。
―配属部門は希望通りだったそうですね。
私の入社した年が、ちょうどKDDIから初めてスマホが発売された年で、スマホとガラケーの転換期でした。入社時にはコンテンツ系の企画本部への配属を希望していて、それが叶いました。
これからAndroidでサービスアプリを作っていこうという時期で、私は当時運営していたECサイトのアプリの企画を担当しました。そこで、新しい機能の要件定義などを通して開発プロセス全体を学ぶことができました。日々、ベンダーの方々とコミュニケーションを取りながらプロジェクトを推進していくのは大変でしたが、 大きな達成感を味わうこともできました。
―企画といってもシステム寄りの業務だったとのことですが、ミスマッチは感じませんでしたか?
今思えば、確かにありました。クリエイティブなイメージを抱いてジョインしたのですが、意外とそうではないなと。方針など固まったものが上から降りてきて、それを遂行するという業務だったので、自分の頭で考えることが少ないと感じて思い悩むこともありました。
―ライフチャートで「厳しくも愛のある教育を受ける」と書かれているところでグラフも急降下していますね。
新入社員の教育係の方々には、本当に厳しく、そして温かく指導していただきました。社会人としての基礎を叩き込んでいただいただけでなく、 困ったときには親身になって相談に乗ってくれるなど、 とても恵まれた環境だったと思います。 今となっては、あの時の経験が、今の自分の礎になっていると感じています。
当時の私は、一度留年はしているものの、万能感が強いタイプだったのだと思います。そうした中で自分の出来なさに直面してしまう機会も多く、どんどん自信を喪失してしまっていました。
その一例を挙げると、新入社員は恒例行事として年度の終わりに1年間の振り返りを資料にまとめて本部長の前でプレゼンするのですが、その資料を先輩方にレビューしていただいて・・あまりにも自分が人に物事を伝えることや資料作りが下手すぎて、結果的に資料のバージョンが「38」までいってしまいました。そうなるともう、何が正しいのか訳がわからなくなってしまいますね。同期が早々と完成させる中で自分だけ時間がかかってしまっているという焦りもありました。その時の資料は思い出深く、まだ手元に残っています。
―その過程における指導で印象に残っていることは何ですか?
細かいテクニックというよりは、資料を作る心得やコアの部分ですね。「それが本当にお前の言いたいことなのか?」とか、「自分の人生を今一度振り返ってみろ」と言われたこともありました(笑)。色々と言いたいことがあって混乱してしまったりもしたので、要は何が言いたいのか、にフォーカスを当てろということですね。本当に、根気強く指導してくださった先輩方には頭が上がらないです…。
仕事をもらえない恐怖と、仕事させてもらえるありがたみ
―その後、異動されますが、グラフは底を打った形となってしまっています。
異動といっても同じ本部の中で担当が変わったぐらいでした。それまでシステム企画の領域だったところから、より“企画寄り”の仕事をすることになりました。元々の希望には近づいたものの、なかなか仕事についていけず、結果的に仕事を回してもらえなくなってしまいました。
ここで「仕事をもらえない恐怖」を感じました。どんなに忙しい状況よりも、仕事がもらえなくて暇なことのほうが恐ろしい。仕事をさせてもらえることのありがたみは今でも強くあります。
―そこからグラフは上向きになっていきます。きっかけとしては、現在のキャリアにもつながる経理部への異動かと思いますが、経理知識はゼロだったそうですね。
業務において、採算管理などで数字を見ることもあり、経理に興味が湧いてきたところで思い切って異動希望を出したら通りました。強い信念があったというよりは、何か現状を変えたいという思いがあった中で、面白そうだなと感じていたことがタイミングよくハマったのだと思います。
元々いた部署よりは人が少なかったので、自分の裁量や任せられる範囲も大きくなりました。そうなると自ずと責任も大きくなるので、「わからない状態ではいられない」。わからないままだと仕事になりませんから、必死に勉強しました。とにかく本を読んだり、ネットで調べたり、人に聞いたりして、インプットを重ねました。
―そうした経験の中で「仕事をもらえない恐怖」から脱却し、グラフも上向いていきます。「好きなコト」でも話題に挙がっていた「BIツール導入のリード」が一番のピークに来ていますね。
社内でBIツールを導入する際に、プロジェクト立ち上げのメンバーとして参加しました。経理には決算時の報告・レポーティングといった業務があるのですが、どうしても形式的なものになってしまっていて、もっと良いやり方があるのではないかと課題感を感じていた時に、上司からBIツールのことを教えてもらいました。まずはそれを自分の本部に広めていくことから始めました。
その過程で、自分の仕事のやり方が形作られた気がしています。それまでは、とりあえず言われたからやるという姿勢だったのが、「この仕事はこうあるべき」という像が頭の中にぼんやりと浮かぶようになってきて、そこに向かっていけばいいのだとシンプルに考えられるようになったと思います。
色々な経験をしてインプットに幅が出てきたことで、だいたいのことに対して正解を出せるようになりました。しんどかった時期や、飛び込み営業の経験なども、関係ないようですが振り返ってみれば自信につながったと感じています。
Supershipでのチャレンジングで刺激的な日々
―その後グラフは若干沈み、また回復していますね。
一度落ち着いてしまって少しマンネリ化を感じていたのですが、管理職を任せていただき、初めて部下を持つことになりました。使命感に燃えていましたね。
しかしその後、5人ほどいたメンバーのうち3人が離職してしまいました。私の影響がどこまであったかはわかりませんが、やりがいのある仕事をさせてあげられなかったという思いがあり、自分のマネジメントに失望しました。
―そこから子会社であるSupershipのCFOに就任したことで、グラフが上向いています。
CFOという立場で仕事をしてみたいと思っていたので、ありがたいお話でした。おかげさまで、チャレンジングで刺激的な日々を過ごさせてもらっています。
KDDIでは、新卒で入社したこともあり、同期入社の仲間と切磋琢磨しながら成長することができました。一方で、Supershipでは、様々なバックグラウンドを持った人が集まっていて、 それぞれの個性や強みを活かして仕事を進めているのが魅力だと感じています。
そのような環境の中で、私自身もメンバーの皆さんにも「アドレナリンが出る仕事」をしてもらえるような取り組みを進められるよう、幅広くチャレンジしていきたいと思っています。
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編注:本記事に記載されている内容は、取材時の情報に基づいています。