
ITの力で不満を解決し、ミライをもっとスマートに【ミライリアルCHALLENGERS’ VOICES vol.3】
お疲れ様です!Supershipホールディングス コーポレートコミュニケーション部/Super Stories編集部の大崎です。
Supershipグループの新規事業創出プログラム「ミライリアルCHALLENGE 2020」にチャレンジした皆さんの声を伝える「ミライリアルCHALLENGERS' VOICES」。
第3回は、DATUM STUDIO データソリューション本部 本部長の鈴木さんへのインタビューです。
DATUM STUDIOのデータサイエンティストを束ねる立場でありながらも、新規事業創出プログラムに挑んだ思いや、そのルーツなど、お話を伺いました!
日常生活の不満をITで解決したい
―まずは選考会、お疲れ様でした!1ヶ月ほど経ちましたが現在の心境はいかがですか。

取材は1月下旬にリモートで行いました
「時間が経っているということもありますが、自分の中では一段落して、楽しかったなという心境ですね。他の皆さんのプランも色々見させていただきましたが、すごく魅力的なものがたくさんあって、熱気も活気もあった楽しいイベントだったなと感じています」
―今回応募されたご自身のプランについて教えて下さい。
「私が応募したプランは、スーパーマーケットでの買い物の『ネットで注文、店舗で受取』を実現するためのプラットフォームやサービスを提供したい、というものでした。ECサイトや配達の仕組みのみならず、そこから広告配信やマーケティングといった取り組みまでスムーズにつなげていくところでSupershipが持っているアセットが活用できると面白いのではないか、ということを考えていました」
―このアイデアは、昨今の“コロナ禍”も関係しているのでしょうか。
「今までは外食が多かったのですが、コロナ禍によって、食材を買ってきて家で作って食べるという機会が、もともと料理が好きだったこともあってかなり増えました。そうした中でスーパーマーケットに頻繁に足を運ぶようになったのですが、“狭い空間に人が密集してしまっている”という不安を抱えながらも、“生活を成り立たせるうえではどうしても行かなければいけない”というジレンマが生まれていて、これをITの力で解決したい、と強く思うようになっていきました」
―そもそも、ミライリアルCHALLENGEに応募しようと思ったきっかけはどういったものだったのでしょうか。
「もともとは、このイベントのみならず、新規事業のアイデアコンテストやハッカソンといった取り組みが好きなので、機会があるたびに極力参加していました。また、日常生活を送るうえで『ここはITを使えばもっとスマートで便利になるのに!』といったモヤモヤとした想いは自分の中に常にあるので、そのうちの、『今このタイミングでやるとしたらこれかな?』というのをアウトプットできたら面白いかなと思ったのが一つのきっかけです」
―そういった思いに至られたルーツを紐解きたいのですが、まずは今までのキャリアをお聞かせください。
「学生時代に、ガラケーのモバイルコンテンツを提供する企業で仕事をしていました。『空手の型の動画をダウンロードできる』サービスや、『俳句を詠んで、それにユーザー同士で“いいね”を付けられたり、専門家の先生から添削を受けられる』サービスなどを、企画からフロントデザイン、バックエンド開発、運用ツールの開発・メンテナンスまで、PM兼、企画兼、開発のリードといった形で携わっていました。スモールなWebサービスではありましたが、結構な数をリリースから手掛けていました。
そのあと、新卒でIT大手の事業会社に入社しました。そこでは希望を出して部署異動をすることができたので、新規ビジネスを開発する部署に異動して、自社サービスをもっと拡張していくために足りないアセットを買い付けてきて、それをどうやって今の仕組みに繋ぎこむか、新機能としてどうリリースしていくか、といったことをやったりもしていました」
―学生時代から新規事業に興味があって、チャレンジを重ねられてきた、ということでしょうか。
「新規事業への興味というよりは、“自分が日々過ごしていて不満に感じるものが解決されてほしい”という思いがあり、それを誰かがやってくれるのであればやってもらって、利用者側にまわりたいというのが正直なところです。それが全く出てこないのであれば『もどかしいから、自分がやるか』と動けるようにしておきたいとは思っています」
業界を取り巻く現状を把握し、バラバラなパーツをつなげる
―ご自身のプランはどのようにして固めていきましたか?
「自分の頭の中にあった複数の種を並行させて、『こういった体験ができれば良いな』というイメージを膨らませてブラッシュアップしていきました。
参考として、国内外のスーパーマーケットやEC事業者が提供しているサービスのプレスリリースや、それらを紹介している記事、実際に動いている様子などを見て、既存のサービスが世の中でどんなふうに使われているのか、という情報を集めました。加えて、事業者が現状のビジネスモデルを変えるとなると資金や時間などコストもかかってしまうので、それがメリットのあることなのか、投資しがいのある取り組みなのかということを明確にするために、スーパーマーケットにおける売り上げのトレンドや、その背景にある課題感といった部分を、業界団体などが発表しているデータを読み漁って分析していきました。
そういったバラバラなパーツがだんだんと頭の中でつながっていって、『こんなプランだったらみんなハッピーになるのでは』というものが絞れていったという流れです」
―世の中の動向について、国内だけでなく海外にも目を向けつつ、ターゲットとする業界の現状といった細かい部分まで見て固めていったということでしょうか。
「そうですね。まあ英語はあまり得意ではないので海外の情報はそれほど見れていないのですが(笑)」
―専門的な話になるとなかなか難しいですよね(笑)。プランを磨き上げるうえで大変だったことを挙げるとするとどういったことになりますか?
「自分なりに考えたアイデアをベースに進めていったので、独善的というか、自分の思い込みが結果的に少し強く出過ぎてしまったかも、と振り返ってみて思います。これがあったら良い!という自分の思いと、他者との間の温度感のズレのようなものを擦り合わせるのが難しいなと感じました。
ただ、この点はアイデアを出すフェーズというより実際にプロダクトインして反応を見てみないと正確にはわからない部分もあるので、ある程度は自分の“想いドリブン”で突っ走ってみようかなと思っていました」
―新規事業を始めるうえでは、自分の想いが無いと始められないし、でもそれが強すぎると市場マッチという点では難しいし、そこのバランスは難しいですね。
「そうですね。そこは悩みながらですね」
「アイデアソン」か、「実ビジネスの延長線上」か?
―相談会には参加されましたか?
「参加しなかったのですが、すれば良かったなと今は思っています。最終的にこの『ミライリアルCHALLENGE』で通った事業をSupershipグループとしてやっていくことを考えると、あらかじめその領域に詳しい役員の方とある程度すり合わせて、社内の使えるアセットを把握しておいたり、つまづきそうな部分を事前に確認する、といった具体的な話をさせていただいて、プランをブラッシュアップしておいたほうが、プレゼンした際の納得感は上がったかもしれないなと思っています」
―今回、チームは3名で参加されたかと思いますが、メンバーはどのように募りましたか?
「プレゼンのためのプランを固めるところまでは一人で進めていたのですが、いざこのプランが選考を通過して事業化されることを考えると、一緒にやっていく仲間が必要になるので、力がありそう、かつこのアイデアに賛同してくれそうで、自分と考えが近くてタッグを組んでやりやすい、普段の業務でも関係のあるメンバーに『一緒にやらない?』と声をかけて誘いました。
その他の方々にも、プランについて、いち利用者観点でどう思うかというアドバイスをいただいたりと、壁打ちはたくさんさせてもらいました。プレゼンまでに十数人の方には話を聞きましたね。役職柄(DATUM STUDIO データソリューション本部 本部長)、関係のあるメンバーは多いので、例えば1on1で余った時間に「こんなこと考えてるんだけど、どう思う?」などと雑談の延長のような感じで聞いたりしました」
―壁打ちを重ねることで気づきはありましたか?
「『近しいサービスをふだん使っていて、こういった部分が引っかかると感じる』『やっぱり自分はこういう使い方に慣れているので、そのサービスがあったところで使いたいとは思わない』など賛否両論ありましたし、『それだったら、この記事が参考になるかも』と教えてくれたりする方もいたので、気づきは沢山ありました。
―プレゼンにおいて心がけたことはありますか?

プレゼン中の鈴木さん
「時間が短いので『要点を端的に伝える』ことを心がけました。情報を盛ろうと思えばいくらでも盛れますが、そこは堪えて、情報を絞るというところですね。特に意識したのは、プランの実行可能性や採算性よりも、このコンセプトにいかに社会的意義があって、人々の生活にポジティブなインパクトを与えるか、といった“共感”を呼び起こす点に重きをおいてプレゼンを組み立てたことなのですが・・・発表の際に『実現性が低いのでは』というツッコミを受けてしまって、結果的には選考通過は叶わなかったので、ああ、これは振り方を間違えちゃったな!と思いました」
―Supershipグループ内における新規事業コンテストということで、他にやり方が何かあったのではないか、と振り返って思われますか?
「そうですね。フラットにアイデアの中身だけを競うアイデアソンと、“実ビジネス”の延長線上にある新規事業の提案、それらのちょうど中間だったのかな、と今は理解できます。準備していた当時は完全にこっち(アイデアソン)側だと思っていたので、そこでズレが生じてしまったなとは感じます」
―「ミライリアルCHALLENGE」自体が初めての試みということもあり、事務局側でもどちらに転がるか読みきれていなかった部分もあったと思います。そこは次回以降、基準を明確化するなどブラッシュアップしていければと考えています。
技術者は、世の中を変えるために必要な力を持っている
―今回の準備から選考会に至るまでを振り返って、どういった経験が得られたと感じますか?
「インプットとして、スーパーマーケットなど小売業界の知識は大量に得ることができました。無邪気な利用者の直感的なアイデアから、どうすればそれを実現できるのかという具体的なプランに繋げるためには、“それが何故現在のビジネスとして形になっていないのか”など、知らなくてはいけないことや考慮しなければならないことも多いので、情報を集めて考え抜く経験は間違いなく自分の血肉になったと感じます。
また、限られた時間の中で情報を整理して端的に伝えることや、見せる資料と喋りの分量のバランスを取ることを考慮しないと、今回は応募数も多かった(14組)こともあり、聞いている方は疲れてしまうなと実感したので、そのあたりを考えながらチューニングをかけていく練習もできたと思っています」
―今回の選考会はオンライン開催でした。カメラが何台も設置されていましたが、緊張はされませんでしたか?

「オンラインで話すことに関しては、部の全体会が月1回、100人くらいに向けて話す機会があるので、慣れてきてはいます。それよりも今回は、目の前に審査員の皆さんがズラッと座られていて、カリカリメモを取りながらこちらの話をじっと聞いている・・という空気感の中で話す、その現場の圧のほうが強かったです(笑)。画面越しに見ていた方からも「現場の圧なかなかすごくないですか?見てるこっちが緊張します」とか言われたりしていましたね(笑)」
―なるほど(笑)。そうした中でも事前の準備通りにできた実感はありましたか?
「そうですね。若干緊張はしましたが、ある程度できたとは思います。審査員の皆さんも、社内の取り組みとして良いものが出てきてほしいという前提のもと審査をされていたので、そこに一定の安心感は持ちながらプレゼンはできました。社外の投資家やベンチャーキャピタルに向けて発表するピッチコンテストなどですと、もっと否定的な空気感があったりするので、それに比べれば断然優しい場だと思いながら発表していました」

厳しくも(?)優しい目でプレゼンを見守る審査員(役員)たち
―2021年以降もミライリアルCHALLENGEは開催予定です。また応募したいと思われますでしょうか?
「正直なところ、今は“半々”です。『AI』や『データ』の縛りを抜きに、これは今ITを使ってやるべきだ、というものが思いついたら応募させてもらうかもしれないです」
―今回、「ミライリアルCHALLENGE」に参加されて、「ここがオススメ」という点を挙げるとするとどういったものになりますか?
「私たち技術者は、世の中を変えるために必要な力は一定持っているはずです。その力を『依頼されたものを形にする』ために発揮していくことももちろん価値のあることですし、意味のあることですが、それだけだともったいないなと個人的には思っています。
『自分は何を成し遂げたいのか』に常に意識を持ちながら情報を集め、思慮を巡らせて、これかな、というものが見つかったらそこには絶対チャレンジしていったほうが良いです。それをやらせてもらえる文化がSupershipグループにはあり、予算もある程度確保されていますし、仕事の調整まで考えていただけて、なんて寛大な会社なんだ!と思います。DATUM STUDIOの管理職という立場から見ても、こうした取り組みは大事だなと思うので、みんなチャレンジしてみてほしいですね。失うものもありませんし」
※これまでの「ミライリアルCHALLENGERS' VOICES」は以下からどうぞ!