
人と人との調和を通じ、「共創組織のモデルケース」をつくる【Leader's ミライリアル 松岡さんの場合】
お疲れ様です!Super Stories編集部の大崎です。
Supershipグループでは、Group Purpose「ミライリアルの幸せを、デジタルの力で創る」の浸透に向けた取り組みを進めています。その一環として、グループの全従業員を対象としたワークショップ "CAMP” を実施してきました。 "CAMP” ではメンバー一人ひとりの「ミライリアル」を言語化していますが、この連載「Leader’s ミライリアル ◯◯の場合」では、グループのマネジメント陣が掲げる「私のミライリアル」とその背景にある「価値観、好きなこと、得意なこと」をお届けします。
今回は、Supershipホールディングス 人財開発本部 本部長 松岡 広樹の「Leader’s ミライリアル」です。
Supershipグループを牽引するマネジメント陣が考える、各社・各事業の“未来予想図”である「私のミライリアル」にぜひ触れてもらい、日々の業務(=旅路)を進めるヒントとしてご覧ください。
【 カルチャー浸透施策のひとつ、「カルチャーブック」については以下の記事で制作意図などを語っています。ぜひこちらも合わせてお読みください 】
松岡さんの「私のミライリアル」

「私のミライリアル」
SSグループを「共創組織」のモデルケースにし、
日本企業の在り方に新しいスタンダードをもたらすこと
―松岡さんの「私のミライリアル」にはどのような思いが込められていますか。
「僕がSupershipグループにジョインすることを選んだ理由の一つは発展途上であり、かつM&Aを繰り返して大きくなっていくという当時は稀な成り立ちの組織だったことでした。さまざまな思いを持っているメンバーが共存している中で、どうすれば皆でシナジーや“+α”を生んでいけるようになるかを考えた時、それを実現させることは自分のやってきたこととやりたいこととの両方に共通することだと認識し、『共創組織』というワードを掲げました。
もう一点、マクロな視点で見ると、日本国内においてはスタートアップへの投資額がアメリカなどと比べてまだまだ大きく遅れをとっています。こうした状況の中で、駆け出しの組織がどのように大きくなったり競争力を担保したりしていくかを考えると、複数の組織が弱みを補完し強みを足し合ったりしながら一緒に戦っていくことが、形としては合うのではないかと思っています。大げさではありますが、このような戦い方を日本企業のモデルケースとしたいです。
グループアイデンティティを策定する際の役員陣による議論の中でも、『toBかつ日本国内をターゲットとしているグループとして、日本企業にコミットしていくことを使命に掲げるべきではないか』という意見が挙がりました」
価値観・好きなこと・得意なことについて
―続いて、その背景にあるご自身の価値観や好きなこと、得意なことについてお聞きします。ご自身の価値観は「貢献」「調和」「希望」の3つを挙げられていますね。
「目の前の人に『貢献』して、+αの価値を出すことを繰り返すのが僕自身気持ちよく、そのことによって自分のキャリアを広げることができたと考えています。誰かにしっかり貢献することそのものを、自分自身の価値として実感できているのだと感じます。
『調和』は、学生時代からこれまでどのような状況においてもこれを大事にし、チームで成果を出せることを実感してきたため、選びました。
『希望』はこれまでも、そしてこれからのSupershipにおいても大切なキーワードであると思っています」
―好きなこととして挙げられた「人の期待に応えること」「新しい何かを知ること」「誰かと感情を共有すること」についてはいかがでしょうか。
「『人の期待に応える』というのは、先ほどの『貢献』と同様ですね。『誰かと感情を共有すること』は実は中学から大学時代までバンド活動をしていまして、その際に“言葉よりも遥かに多い情報量で感情を共有できている”感覚を覚えたことがきっかけになっています。
『新しい何かを知ること』が好きな理由を問われると難しいのですが、小さいころからそうでしたね。何かの図鑑を読んだり、ポケモン全種類の鳴き声や由来、タイプを知ったりすることがとても好きでした。知的好奇心が満たされ、感情が高ぶっていたのを覚えています」
―得意なことは「構造を捉え、物事や議論を整理する力」「他者の感情・意向を汲むこと」「やると決めた時の集中力」を挙げていただきました。
「『構造を捉え、物事や議論を整理する力』は生存戦略に近いです。実は自分ではこの力が長けているとは思えていない部分もあるのですが、周囲の皆さんや過去の上司に長けていると言って頂くことが増えてきたので、それを自分の中の良い部分として活かせていけると良いのかなと思っています。
『他者の感情・意向を汲むこと』については生い立ちから来ている部分があります。おそらく人よりアンテナが少し繊細なので、回避できたトラブルなどがあるのではないかと思っています。
『やると決めた時の集中力』ですが、例えばその日のうちに思い立って『海外に行こう!』と宿や飛行機を予約して行っちゃうようなタイプなんですね。目標・目的がセットされ、そこに向けてアクセルをベタ踏みすることが好きです」
価値観が育まれた人生のターニングポイントは

―続いて、松岡さんの価値観や好きなこと・得意なことが育まれるきっかけとなったエピソードを伺いたいと思います。ご自身の人生の“幸福度の増減”を折れ線グラフにした「ライフチャート」に沿ってお話を聞いていきます。
まず最初に「優等生君」とありますが、この言葉にはどういった意図がありますか?「調和」や「他者の感情・意向を汲むこと」を挙げられたことにもつながるのでしょうか。
「どちらかと言うと学校や家庭ではバランスをとる役割になることが多く、中学では生徒会長をやっていました。一方でいわゆる“不良”とも仲良くするタイプの人間で、『先生が言ってることを上手く聞いたほうが、結局自由に楽しくできるじゃん』などと言いながら、双方にとってストレスのない環境をつくることに苦心していました。良くも悪くも“八方美人”でしたね。大学時代はゼミ長など、何らかの長を多くやっていました。ただ自分から立候補することは殆ど無く、自然とそういったポジションを任せられることが多かった記憶があります」
―前述のとおり、学生時代はバンド活動に勤しみ、一時期はプロになることも考えられていましたが、同時期に活動していた他のバンドがなかなか上手くいかなかったことを目の当たりにして就職の道を選びます。
音楽に何らかの形で携わりたい、との思いで関西のテレビ局に入社されましたが、そこでは人事に配属され、最初はショックだったようですね。
「自分としては人事をやるためにテレビ局に入ったわけではないので、しばらくは受け入れることができませんでした。ただ、人事に配属されたことを家族や親しい友人に報告した際、親も含めた何人かに『やっぱり!』と言われたんですよね。Supershipグループに大学からの友人が何人かいるのですが、そのうちの一人にも『“ぽい”わ〜』と言われた記憶があります。自分ではそれがどういった部分かはわかりませんが、ひょっとしたら人によっては人事の適正を感じてくれていたのかもしれません。それを考えるとそのテレビ局の人事はすごいなと思います。
人事の仕事も最初は何が楽しいんだろうと思っていたのですが、2年くらい働いていると面白さに気づいていきました。結局は事業もプロダクトもサービスも全て“人”で、そういった所に影響を及ぼす仕事には価値があると感じ、そこに関してもっとキャリアアップしていきたいと思うようになりました」
―人事の仕事の面白さについてもう少し詳しくお伺いしても良いですか。
「まず一つは採用業務で、人の意思決定の瞬間に立ち会えることです。『このキャリアを進めているのは松岡さんが居てくれたからだ』と言ってもらった時にやりがいを感じましたね。もう一つはアサインの話で、とある部門でなかなか実力を発揮できていなかった社員が、別の部署に異動した直後に全社MVPを獲得して、とても驚いたことがありました。“適材適所”と言いますか、その人に合った組織や業務を合致させることができるとこんなに違うのか、ということを身を持って知った時に、それを司る仕事は役割としてかなり重要なのではないか?と思いました」
―その後、変化の激しい組織での人事を体験したい、との思いで当時急成長を遂げていたIT企業に転職されます。しかし直後に「成長期ベンチャーの洗礼」でガクッとグラフが落ちていますね。
「人事に関してやることが非常に多く刺激的で楽しかったのですが、入社直後に会社としての大きなトラブルがあり、業績も低迷してしまいました。そこから数年間は非常に苦しく、人事として望ましくない状態の組織にどう向き合うかのチャレンジで、いま思うと貴重な経験でしたが当時はとても辛かったです」
―そうした非常に辛い環境の中でも、松岡さんが頑張り続けられたのはなぜでしょうか。
「一つは、僕の気質です。今できることをとりあえず頑張ろうと思うタイプで、状況はすこぶる悪かったですが、それは“自分がやれることをやらない理由”にはならないと思いました。お給料も貰っていますし。その考えは今でも一貫してるかもしれないですね。
もう一つは、そのような状況でも希望を持ち続けている人がまだ残ってくれていたことです。黙々と企画を出し続けるプロデューサーや、こんな状況だからこそよりチャンスだと、役割を広げたいと言ってくれる新卒社員がいたりと、そういったメンバーが少なからず居たという中で、自分はこの人たちと一緒にまだ頑張りたいと思えました」
―そして「小さな成功体験の積み重ね」を通じてグラフが再び上向いていきます。
「当時はHRBP(HRビジネスパートナー=企業における人事機能の一つで、事業部門の経営者や責任者のパートナーとして、事業成長を人と組織の面からサポートする)という部門にいて、一番売り上げ構成比が大きい事業と向き合っていました。
ただ最初は事業部サイドのメンバーから『君らが居ても居なくても、どうせ変わらないじゃん』ぐらいに思われていて、相談されるようなことも無かったのですが、『締め会の準備をやらせてくれ』とお願いして、売上をグラフでわかりやすく示したスライドを作ったりしていました。そうした裏仕事を担い、締め会を終えた後に部長と雑談をしていると、『◯◯(部のメンバー)が最近元気無くてさ〜』という話が上がりました。では話を聞いてみようとそのメンバーと面談をしてみると、組織の課題がポロッと出てきました。そのことを部長に報告すると『そうなんだ、知らなかった』となりまして、結果、アサインの変更などにつながっていきました。
そういった信頼関係から仕事が少しずつ増えていって、最終的にはその事業領域で独自の評価制度(グレード制度)を作りたいという大きな案件を担当することになりました。そして副社長直轄のプロジェクトが立ち上がり、プロジェクトルームにこもって人事制度を丸々作ったりしました。そうした小さな仕事が“わらしべ長者”のように、次の仕事につながっていった経験がとても印象に残っています」
―その後、ご自身のマネジメントの範囲も含めた組織の規模をもう一段小さくし、立ち上がり直後のより“難しい”組織に携わりたいとSupershipグループにジョインされました。
苦楽を共にしたメンバーの卒業を見送ったり、新たに仲間を迎え入れたりと、Supershipグループの仲間の門出に常に携わっている人事としてのやりがいや大変さはどういったものでしょうか?
「マネジメントや業務領域の幅の広さなど、これまでとは違った質の経験ができて、会社にとって非常に大きなインパクトのある意思決定も任せてもらっています。メンバーにも恵まれ、色々と助けてもらいながら組織もだんだんと強くなっている感覚があります。
一方で、僕は八方美人的に生きてきて、“双方にとって成立する何か”を解としてずっと探しているのですが、組織のマネジメントやカルチャーにおいてそれはジリ貧になっていってしまうものなのかもしれないと、最近感じています。さまざまな価値観を包含するとどうしても“何かを言っているようで、何も言っていない”という組織になりかねない。だからこそ時には言い切りが必要かもしれないと思っています。
これには色々な考え方があると思います。Aも良いけどBも良いよね、と言うのは気が楽ですが、それを続けていると『結局、Aが良いですか?Bが良いですか?』と、どちら側の人もいずれ嫌がってしまいます。そこでじゃあAですと言うとすると、Aが嫌だという人は去っていってしまう。そういったことがあったとしても、説明責任をしっかり果たして理解を得てもらうことはもちろん前提として、気持ちはぶらさずに時には言い切るということも必要だと最近考えています。同時に、非常に難しくて、大変なことだとも思いますね」
▼ 過去の「Leader’s ミライリアル」はこちらからお読み頂けます